相続人不存在とは?相続人不存在の場合の手続きもあわせてご紹介!

少子高齢化が進んでいる日本。
そのため、「独居老人」が増えていたり、未婚率が上昇したりしており、なくなるときに身寄りのない高齢者が増えています。
つまり、相続人不存在のケースが増える可能性が高いのです。
相続人不存在の場合、その財産は国のものになるため、今後も国に帰属される財産は増えると考えられています。
今回は、相続人不存在場合の手続きについてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

□相続人不存在とは?

*法定相続人がいない

法定相続人とは、「誰が相続人になるのか」を決める民法で定められた相続人です。
この状態は、亡くなった人の中に、以下に挙げる人が誰も存在しないことを指します。

・配偶者
相続優先順位は、配偶者は常に相続人となっています。

・子供(第1順位)
子供が亡くなっている場合は、孫が相続優先順位の第1順位になります。

・親(第2順位)
亡くなっている場合は、祖父母が相続優先順位の第2順位になります。

・兄弟姉妹(第3順位)
亡くなっている場合は、被相続者の甥姪が相続優先順位の第3順位になります。

*相続放棄で相続人がいない

相続放棄とは、遺産の相続を放棄することです。
例えば、被相続人が多額の借金を抱えて亡くなったり、単純に被相続人と疎遠になっていたりした場合に相続放棄されるケースが多いです。
つまり、プラスの財産よりもマイナスの財産が大きく、誰も相続したくない状況では相続人全員で相続放棄することが考慮されます。

*欠格・排除で相続人がいない

法定相続人がいる場合でも、その相続人が欠格・排除に該当する場合は相続人不存在になります。
欠格・排除とは、相続する権利を与えられないようにする民法の制度です。
例えば、被相続人、あるいは相続人の殺害や殺害に手を貸したり、相続人による虐待や侮辱行為を被相続人が家庭裁判に申し立ててそれが認められたりすれば、その人は相続権を失います。

□相続人不存在の場合の手続きについて

では、相続人不在の場合の手続きはどのようにすれば良いのでしょうか。

まず、家庭裁判所によって相続財産管理人が選定されます。
仕事内容は、法律に則って遺産の調査・換金・管理などの手続きを行います。

次に、債権申立ての公告を行います。
選任の公告から2ヶ月以内に相続人が発見できなかった場合、相続財産管理人は、債権申立ての公告を行います。
これは、相続人の有無を確認するためです。

そして、相続人捜索の公告を行います。
債権申立ての公告を行なってから約60日が経っても、相続人の有無を確認できない場合があります。
その場合、相続財産管理人は「本当に相続人が存在しないのか」を確かめるために、6ヶ月以上の期間をかけて公告を行います。

それでも公告を行っている期間中に相続人が発見されなかった場合、相続人不存在が確定します。
財産管理人は、臨機応変に不動産や金融資産を現金化します。
そして、債権者や特別縁故者に権利に適した遺産を渡します。
最終的に残った遺産は、相続する人がいないため、国庫に納めることで手続きは完了します。

ここまでご紹介したように、従来の法律では相続人不存在が確認されるまでに10ヶ月もの期間がかかりました。

しかし、2023年4月1日以降は、公告をひとつにまとめて行うようになりました。
そうすることで、相続人不存在の確定期間が最短6ヶ月にまで短縮されることになりました。
また、この変更に併せて現在の「相続財産の管理人」という名称も「相続財産の清算人」へと変更されました。

□相続人不存在の場合の注意点とは?

*相続財産管理人には報酬がかかる

相続財産管理人は、弁護士や司法書士などが選ばれることが多いです。
その場合、専門家への報酬が必要になります。
報酬の相場は月額1〜5万点程度で、管理にかかる手間や難易度に応じて家庭裁判所によって決定されます。
この報酬はあらかじめ支払うのではなく、管理に必要な手数料、経費などとともに財産から支払われます。

また、報酬とは別に相続財産管理人選任には、以下の費用がかかるので把握しておきましょう。

・収入印紙代:800円
・郵便切手代:家庭裁判所によって異なる
・官報公告料:3,775円
・予納金:10~100万円(相続財産管理人の報酬などに充てられます)

*不動産共有者への帰属より債権者や特別縁故者が優先される

不動産を共有していて、その共有者が亡くなり、かつ共有者に相続人がいない場合、共有分は債権者や特別縁故者へ渡る可能性があります。
これは、法律上、共有者への帰属よりも債権者・特別縁故者への財産分与が優先されるためです。
また、債権者への弁済、特別縁故者への財産分与が済んだ後、共有分が残っている場合は、共有者に帰属することとなります。

□まとめ

今回は、相続人不存在とは何かについてご紹介しました。
相続人が存在すれば、遺言書で指定された相続人や特別縁故者に財産が渡りますが、相続人不存在の場合は国に返還されます。
そのため、「誰に相続するのか」「この遺産はどうするのか」などを記した遺言書を作成して準備を事前に行っておくことをおすすめします。

監修者情報

監修者情報

アーバンネットワーク株式会社
松本 幸治

代表挨拶